どうもローンイマイです。
私は4連休です。(15日は有給をとって)
9月15日(金)が四季報秋号の発売日だったんで、一気にスピード重視で目を通して、目に留まったのは再度読み直してまでが終わった所です。
その中からピックアップした銘柄は、過去の決算書見たりして調べますが、その休憩の間に記事でも書きます。
この記事は23年9月16(土)のAMに書き始めて1、2時間後くらいにUPした記事です。(古い情報になってる可能性がありますので、一応お断りです。)
スピード重視なんで、誤字脱字は、適当に読み替えて解釈して下さい。
→ 過去の 経済・投資・ニュースなんかを くっちゃべった記事はこちら
情報交換できる仲間を募る目的で書いてますので、・「真剣」にやってる「専業」の投資家の方 または、・専業では無くても、「真剣」に深く勉強してる兼業の投資家の方 (一定のパフォーマンスは出してる事) かつ、・「等価」で情報交換できるような方は、ぜひ連絡下さい。
何を書いたか後で分からなくなるので、目次としてまとめておきます。
<目次>・自動車 関連投資・自動車スイングトレード・ギガキャストとは?・ダイカストのメリット、デメリット・トヨタ コンベアレスへ挑戦・ギガキャスト銘柄 アイシン リョービ
追記:9/18 リョービとUBE・ギガキャスト 負の影響・収益化のメド・イーアクスルとは・ニデック命懸けの戦い・オーナー経営者だから出来る事・イーアクスル銘柄・イーアクスルのトレンド・業界の再編 守り・業界の再編 攻め・世界最大の市場・異質な進化・中国市場での戦い方・東南アジアでの脅威・追記:9/18
EVの設備インフラのニュース
自動車 関連投資
前記事(自動車 決算)の続き
なんですが、
5月頭に自動車、EV(電気自動車)「関連」が、今後良いと予想しました。http://loanimai-bigbust.net/admin/20230512-invester98.html
そう予想し始めてから、どこが有望な投資先なのかも もう少し調べたりしました。
4-6月1Qの決算でも、各自動車メーカーは、一番重要な生産台数を2桁で増やす計画を出してきて、株価も鰻登りで、年初来高値です。
ちなみに、私の中での自動車メーカーでは、長期投資であればホンダをイチ押しです。
理由は、バッテリーEVはホンダは、GMと共同開発したEVを来年投入で、独自開発のEVも再来年投入で、
GMのバッテリーEVが税額控除の対象なので、ホンダのバッテリーEVも税額控除の対象の可能性もあり、アメリカでは競争上優位とみてます。
いずれにせよ、自動車関連銘柄には、今後も台数を増やすんだから、その恩恵を受ける自動車関連銘柄の業績は当然プラスで、
中でも今後のEV化への投資で、どこが利益が出やすいかを理解するには、
市場全体を理解する為にも、自動車部品業界の全体の展望、どこでの消費地が多いかなど。
・業界の再編・EVのキモになる蓄電池、全固体電池バッテリー・車体の「ギガキャスト」・モータなどの「イーアクスル(eAxle)」・EVの設備インフラ
などなどを理解しておくのが、有望な投資先を見つける事ができると個人的に考えてます。
この数ヵ月で海外の専門誌やらテスラ関連の情報から得た知識、投資先の銘柄含めて疲れたらタイピング止めるので、それまでタイピングしてみます。
自動車スイングトレード
7月9日(日)の日経の記事にて、EV一体成型「ギガキャスト」 リョービが参入という記事が掲載されてました。
この件はツイートしましたが、7/10(月) の朝一で、私はリョービにエントリーしました。
スイングトレーダーは材料が出たら、「その材料が強そう」ならば、素早く乗っかるのが基本です。
また、7月14日(木)の後場にアイシンが、中期経営計画を発表して、その中で、「ギガキャスト」に参入する事が分かりました。
この日は家でリモートワークだったんで、自動車関連銘柄を並べて見てたら、後場にアイシンが急に上昇し始めたんで、HPのIR欄を見て中計が出てたんで、ざっと見て・中計の目標数字・ギガキャストって文字を見て、速攻で買いました。
ただ、この報道や中期経営計画を読んでも、最低限の知識が無いと、この材料がどの程度のインパクトがあるか分からないと思うので、そこから説明します。
ギガキャストとは?
6月中旬に、トヨタ自動車が「ギガキャスト」導入検討と報道されました。
2026年投入の次世代電気自動車(EV)からを計画しているとの事。
「ギガキャスト」というのは、米テスラが「メガキャスティング(ギガプレス)」という名前で2020年に導入して製造コストを下げるとして知れ渡る事になった技術で、製造原価だけで2割以上削減すると言われてます。
ギガキャストは、溶けたアルミニウムを鋳型(※)に注入する大型の高圧ダイカストマシンで複数のアルミ部品を1つのパーツとして成形する技術です。
※鋳型(いがた):金属を融点より高い温度で溶かして注ぎ入れる製品を作るための型鋳造(ちゅうぞう)は、この型に流しこみ冷やして固める加工法ダイカストは、金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属を圧入し、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量生産する鋳造方式
このメリットは、車体部品の点数が劇的に減ります。トヨタが公表した資料では、
22年発売のEV bZ4X の車体後部(リアアンダーボディー)で、部品点数:86部品工程数 :33工程
車体前側(フロントアンダーボディー)だと部品点数:91部品工程数 :55工程
そして最後は、フロントとリアの2部品を2工程で統合するそうです。
これが、リア、フロントそれぞれ部品1個、工程数1に減るという破壊的なイノベーションになります。
トヨタは、車体をフロントセンターリアの3分割した大きなモジュール構造にするそう。
ホンダも同様にギガキャストの導入を検討してます。
先行していたテスラは、製造工程でギガキャストを使用することで、従来の171個の部品から2個の巨大な鋳造に置き換えて、飛躍的にコストダウンをして、
車体コストを40%削減し、各工程で使用していた600台のロボットが不要になったと言われています。
テスラが使用するのはイタリアのIDRA社製のギガプレスです。他にもギガキャストのメーカーだとスイスのビューラー社などがあります。
ただテスラの場合は、日本のように部品1個1個がきめ細かく無いし、プレスがヌルいんで、ギガプレスのようにしないと故障が沢山でちゃうってのと、耐久付ける為って事情もあったようです。
テスラの事を知ってた人は、この変化は起こるべくして起きたもので、あ~日本にもツイにきたか・・と思ったはずです。
日本でもテスラ社は普通にネットで買えますが、販売のディーラが無いから、上海から運ばれて、大きな駐車場で受取したりして、車検とかも町工場はどこも受けてくれないんで、テスラ系の所に持ってくしかないです。
トヨタは次世代EVにて、生産工程を1/2開発費と工場投資も1/2に大幅に下げる事で、低価格なEVで収益を確保する考えです。
イドラ社のダイカストマシンの大きさはこの動画で分かるかと。
ダイカストのメリット、デメリット
ダイカストでも、アルミダイキャストなんで、金属で無くて軽量なアルミを流し込んで成型するので、元となる金型次第で高精度で複雑な形状に対応できるのが特徴なんですが、
大量生産に適しているためコスト面でも有利とされてます。
一般的にダイカストのメリットとデメリットは、
◆メリット1.大量生産に向き、製造コストも低く抑えられる2.寸法精度が高く、表面が滑らかに仕上がる3.アルミダイカストの場合は軽量化できる
一般のエンジン車の車体は鋼板部品の重量が全体の9割を占めます。鉄に比べてアルミは6割超軽く、走行時の電力消費効率も高められます。
◆デメリット1.強度が必要な製品には向かない2.金型が高価3.アルミダイカストの場合は修理代が高額になる。
アルミダイカスになると、一体成型された部品なので、破損した場合に、修理が難しくて、まるごと交換する事になるので修理費用が高額になります。鉄と違ってアルミなんで凹みやすいしね。
もっともテスラもディーラーが無いもんだからバッテリーの所が故障して、交換だってなったら230万だって言われたとか話題になってましたけどね。
トヨタ コンベアレスへ挑戦
トヨタによると、ギガキャストを導入で多数の部品同士の擦り合わせが不要で、ダイカストマシン(鋳造)で高精度なボディーを造れると。
この次世代EVでは、コンベヤーレスに挑もうとしていて、コンベヤーのような搬送装置を使うんじゃなくて、
組み立て中の車体を「仕掛かり品」のまま後工程まで「自力で走らせる」移動である「自走組立ライン」を実現する予定だそう。
自走組立ラインを導入で搬送設備をなくせたり、またギガキャストは、デジタル化と相性が良いそうで、誤差が1ミリレベルに収まる再現精度を実現し、量産準備期間の短縮できるそう。
また無人搬送や、組み立て中の車体を自走させたまま検査する自律走行検査を導入し、生産ラインの効率化を図るそうです。
ギガキャスト銘柄 アイシン リョービ
ギガキャストに参入を最初に明確に表明したのは、リョービですが、
実は、アルミダイカストの銘柄では、4月からリョービ よりも、アーレスティという銘柄に着目して、その前まで買ってました。
○○億円長期投資家Aさんとの会話
リョービは、四半期決算の少し前に、上方修正、増配を発表しております。
リョービは、独立系のダイカスト専業で首位です。広島が本社ですが、菊川工場(静岡県菊川市)内に約50億円を投じて新建屋を建設します。
新工場は敷地面積3400平方メートル。うち1600平方メートルを鋳造工場とし日本初となる6000トン(現在保有する最大の機械は同3500トン) クラスの大型ダイカストマシンを導入するそうです。
大型構造部品の試作サービス(設計、試作金型、試作品)の提供を2025年3月頃から予定しており
これまで培ってきたサブフレームなど大型アルミダイカスト製品の生産技術やノウハウを活かす事になります。将来は自動車メーカーの工場への成型機の設置や運用、保守なども担う考えです。
そして、9月14日後場にアイシン<7259>が中期経営計画でギガキャストに参入する事が分かりました。
9/15 終値
アイシンの銘柄紹介をすると、トヨタ系 大手自動車部品メーカーで、AT(自動変速機)で世界首位
9/15時点で時価総額 1兆6,882億円PER:12倍PBR:0.8倍配当利回 3%
23年3月実績で、売上高 :4.4兆円営業利益:579億円利益率 :1.3%ROIC:1.8%
24年4月での予想で、売上高 :4.6兆円営業利益:1,900億円利益率 :4.1%ROIC:6.4%
中期経営計画では、25年3月売上高 :5兆円営業利益:3,000億円以上利益率 :6%ROIC:10%以上
ROIC(ロイック)は以前もどこかの記事で解説しましたが、簡単に投下資本利益率(Return On Invested Capital)の事で、投じた資金で、どれだけ利益を出したか?で、収益力を測定する指標です。
ROIC=税引後営業利益÷投下資本※中央値は6.2%くらい
※投下資本=有利子負債+株主資本
ちなみに、ROE(自己資本利益率)は、当期純利益÷自己資本
ROICは、本業に投下した資本に対してどれだけ稼いだか(税引後営業利益で計算)
ROEは、株主の出資分に対してどれだけ利益(当期純利益で計算)をだしたか
ROEは「純利益」で計算するので、特別利益のような本業とは無関係な数字が乗っかるのと、分母が自己資本なので、自社株買いで自己資本を減らせばROEは向上しますが、ROICだと自社株買いしてもROICは向上しないので、純粋に本業で稼ぐ能力が求められます。
話を戻して、
売上構成だと24年3月予想が、パワートレイン(※1):56%走行安全(※2) :20%車体関連(※3) :18%その他
※1 AT、eAxle、トランスミッション※2 運転支援、自動駐車システム、自動緊急ブレーキシステム、ドライバーモニターシステム、ディスクブレーキ※3 ドアロック、サンルーフ、パワーシート、ドアフレーム、ドアハンドル
トヨタグループの売上が半分以上
地域だと24/3予想で日本:52%北米:17%中国:13%欧州: 7%
ギガキャストは自動車メーカーが自ら手がける場合が多くて、ただ、部品会社に外注したほうが、自動車メーカーが資源の配分を最適化したり、コストダウンを図ったりしやすいため、将来的に外注し始めると見込んでるそうです。
アイシンのギガキャスト(中計より)
なにぶん車体がデカイんで、輸送コストがネックになるんで、リョービが新工場を静岡にしたのは、「スズキ」や「ヤマハ」があったり、トヨタが6月にギガキャストの試作品を披露したのも静岡県の研究拠点で、また隣県にトヨタがある為だと思われます。(あくまでも私の想像)
大型成型機の開発で先行してるのは、中国のLKテクノロジー・ホールディングスで、ここが、上述したイタリアのイドラ社を買収して、2019年に6000トン級を発売してます。日本国内では、UBE<4208> (ユービーイー)の子会社が出がけてます。
追記9/18:
ギガキャスト 負の影響
ギガキャストが導入されると、鋼板のプレスメーカーが不要になり、自動車部品の供給網が変化します。
トヨタ、ホンダは多くの系列部品メーカーを抱えるので、工程数が減る一方で部品メーカーそのものの仕事が無くなってしまう可能性があります。
ギガキャストに加えて、無人化、省人化の生産設備は、物の流れから人の導線まで既存工場のレイアウト自体も全部見直す必要があるので、
ホンダによると世界中の工場で同じ設備を整えるのに、兆円単位の費用がかかるそうです。
ここが、ゼロからビジネスを構築してきたテスラとの違いです。
収益化のメド
ただ、この話って、今日、明日に収益化される訳じゃないですが、トヨタの26年投入ってそこまで遠い話じゃないんで、
当面は投資期間になりますが、日本の自動車メーカーにとっては、なにせ破壊的なイノベーションになりますので、
アルミダイキャストに関わる銘柄にとっては、株価の下支えになるのは間違いないです。
一方で、車部品の産業で
今四半期(2024年3月 1Q)に「すでに収益化」に漕ぎつけた技術が、イーアクスルです。
イーアクスルとは
ニデック(旧:日本電産)が、この数年
社運を賭けて イーアクスル(eAxle) の開発、販売、量産 を行い今四半期1Qにて遂に黒字化に成功しました。
イーアクスルとは、モーター、ギア、インバーター(※)を一体化したものです。
(※)ギア:減速装置インバーター:EVではモーターの回転数を制御する装置
自動車メーカーは、EVを作るのに、装置間の相性や性能を考えて、モーター、ギア、インバーターを選択してたんですが、
ギアの構造は、歯車の塊と言われるほど複雑で、組合せるモーターの特性を合わせるのが非常に難しいと言われてきました。
それがEVメーカーは、イーアクスルを採用しちゃえば、車体に乗せて、電力供給しちゃえば、タイヤに繋がるドライブシャフトの回転トルクを発生させるまでを一製品で完結できちゃうので、短期間でEV開発をする事ができます。
なので、今まで車の開発をやってなかった企業も案外簡単に参入できちゃいます。それもあり中国向けが多い訳です。
ニデック命懸けの戦い
ニデック 旧 日本電産は、創業者の永守重信さんについては(現ニデックの代表取締役会長兼CEO)
永守流 経営とお金の原則 22年4月記事http://loanimai-bigbust.net/admin/20220429-GW-book-movie.html
にも書いたので、詳細はそっちを読んで下さい。
永守さんは、カリスマ的な経営者ですが、後継者問題でミソをつけて、再び自身で経営のカジ取りをトップとして開始しました。日本電産は、モーターの会社として創業してますが、
今回のイーアクスルでも、数量勝負になると価格で負けちゃうのが今までの日本のパターンなので、それにも負けないように、ガンガン量産して、うちのを使ってくれと。
とにかくシェアを取るんだ!って事で、先行投資を優先してきたので、
EVトラクションモーター事業(イーアクスルの部門)は、部門としてずっと赤字(前期の着地は300億円の営業赤字)だったんですが、それが4-6月1Qの決算でようやく5億円の黒字になり、
このイーアクスルのせいで、今までずっと赤字になってきて、まさに永守さん命懸けで、社運を賭けてきてました。
今四半期の永守さんの説明会では、「(イーアクスルの)競争相手も出てきて、相手の弱点も分かってきたと。」「競争相手が増えてきたのは良い事で、弱点が分かるので、そこを攻める事で戦い易くなってきた」「現在のメインは中国だが、これからは欧州。日本からの引き合いも多い。」「これまで一貫して25年がイーアクスルの分水嶺と言ってきたが、ぴったり推移している」
モーターの出力が150kwだと、ガソリン車だと2000ccで、これをドンドン小さくしていって、20~40kwにすると、車体の価格自体が40万円代になるそう。
この低価格になるとお金が無い人でも中国でEVに乗れますそう。
小型化のニーズが強いんで、そちらに傾注していくそうで、また小型の方が量産効果が大きいそう。
元々、HDDモーターでも低価格帯の売れ筋商品で勝負してきて伸びてきたんだと。
皆が多く使う汎用の値段の安いモーターに最も注力したんで儲かったと、なんで近い将来最も多くなる低価格帯で利益を出していくそう。
数量の効果で、ようやく損益分岐点を超えて黒字転換になってきて、ここからが投資の回収フェーズで、これから攻めるぜ!と。
ただ、販売数量自体は下方修正していて、EVには第1世代、第2世代、第3世代とあって、最初コストばっかり掛かってた第1から第2に乗り換えが進んでいて、採算が改善してきていると。採算の良い、第2、第3世代を投入していくそうです。
今回4-6月ではイーアクスルは部門で5億円の黒字になって、通期では営業利益75億円を見込んで、来期は150億円、再来期は300億円と拡大すると。
倍々ゲームみたいな事を言ってて、ホントかよ?永守節だから、ブってないか?って気もしますが。。
第3世代は元々もっと遅く投入予定だったのも、待ってらんないんで、早めに投入すると。
旧 日本電産といえばモーターなので、「最後に勝つのはモーターメーカーや」と永守さんアクの強い京都弁で言ってました。
永守さん最近 120歳まで働くと言い始めて、うちのような株を今から買わないとダメだとかインタビューで言ってましたね。
オーナー経営者だから出来る
まあしかし、イーアクスルでずっと赤字を垂れ流して勝負するなんてのは、黒字化できるまですげー時間かかるし、下手すると失敗して潰れ兼ねないから創業者だったからできる話です。
製薬大手エーザイのアルツハイマー型認知症治療薬で米バイオジェンと共同で開発を進めてきた「レカネマブ」(※)なんて、
ガン治療薬で稼いだ金を研究開発に全部ブっこむとか、サラリーマン社長じゃ、責任問題になるんで絶~対ぃ無理です。創業家の内藤さんだから出来た事で、しかもレカネマブは失敗とか言われちゃうし。
経営者は、この分野にコストかけて突っ込めば将来儲かるって分かってても、投資家は共感しないんで、
「その間の収益どうすんだよー!」「なんだ赤字かよー」ってんでもって、株価も一旦下がっちゃう。
日本電産はイーアクスルのせいで赤字になって、2021年に高値14000円だった株価は23年年初には半分以下の6000円近くまで下落しましたからね。
月足チャート
グロースに上場してる企業ですら、成長投資でも赤字が許されない傾向にあるんで、まあ大株主のオーナー経営者じゃないと、こういうのは難しいです。
※米食品医薬品局(FDA)に7月上旬に正式承認されたアルツハイマーの進行を緩やかにする事を証明した世界で初めての医薬品
アメリカの高齢者向けの公的医療保険(=メディケア)で保険が適用されるので、比較的安価で使えるようになって、普及が期待される。
日本でも9月に承認の可否が行われます。今後、中国、欧州、カナダ、イギリス等でも承認される可能性が高い。アルツハイマーの対象者は世界で5000万人程度いるそうで、2050年には1億5000万人程度まで増加すると予想されます。
アルツハイマー型認知症とは、患者の脳内にアミロイドβというタンパク質が時間をかけて蓄積されて一定以上蓄積されると神経細胞が破壊されて発症します。レカネマブは、このアミロイドβを除去する仕組みの薬。結果、進行を遅らせる事ができる。
ちなみに、私がポジション持ってて好きな米国銘柄で何度かツイートしてるイーライリリー<LLY>
という製薬メーカーが同様のアミロイドβを除去するタイプを申請してて、もう少しで承認されそうな段階にきてます。
個人的には、まだまだバリバリに伸びると考えてます(ハズレても知らんけど)
月足チャート
イーアクスル銘柄
イーアクスルって、日本電産以外にも扱ってる企業はあって
明電舎<6508>ユニバンス<7254>IJTT<7315>アイシン<7259>
などもやってて、
創業120年以上の名門の「明電舎」
だと、ここは以前からイーアクスルの開発はやってて、研究開発の段階で割とつまづいてた印象ですが、
今年4月にEV向け駆動ユニットの「MEIDEN e-Axle」を販売開始したと発表してます。
150kw対応で、重量は業界でもトップクラスに軽量の69kgで、小型化で車両消費電力を改善してます。高さを抑えた設計で、前輪後輪に取り付けて3列シートにも搭載可能だそう。今後は出力のラインナップの充実化、量産体制の整備に取り組むとの事です。
「ユニバンス」は、元々ミッション、アクセルなどの駆動系ユニットの専門メーカーで、2019年にイーアクスルのEV試験車両を開発したと発表してます。
変わってるのは、一般的にイーアクスルは、1つのモーター構成なんですが、2つのモーターと2段の変速ギアを組合せた4つの最適駆動モードを、走行状態に応じてシームレスに自動で切替えて、低電力でも高い動力性能を実現するとの事。
デュアルモーターなんで、4種類のモードだから、0kmから50kmの加速までに2秒くらいで達するって言うんで、異常に立ち上がりが早いから単価が高いスポーツカーなんかが使ってくんないかな。って感じです。
この「ユニバンス」年初からの監視銘柄で、今年年初の記事で低PBR銘柄が今年のトレンドになると記事で書きましたが、超低PBRで、今年期待できそうって事で監視にいれました。
上述したアイシンは、2019年にデンソーと共同でイーアクスルの開発販売に特化した「ブルーイーネクサス」を設立してます。
2022年に第一世代のイーアクスルを量産開始してます。2025年から第二世代を投入予定です。系列なんで、トヨタのEVには、当然搭載されるでしょう。
アイシンの中計資料から
IJTTは、いすゞ系部品3社が統合してできた企業です。いすゞなんで、トラックとか商用車向けのイーアクスルで、国内の商用車メーカーからはすでに採用も決まってるそうで、量産開始してると報道されてます。
ニデックが黒字化した事で今回脚光を浴びたイーアクスルですが、上記のように、低価格、スポーツ車、商用車、系列と割と用途が分かれてます。
イーアクスルのトレンド
イーアクスルの中でも、主流が変わる兆しがあって、充電時間の短縮に向けて電池の電圧を高める動きが出てて、電圧が800ボルトと従来の2倍になるため、イーアクスルを構成するインバーターやモーターなども対応しなければならない。
高電圧に対応すればモーターを小型化できるメリットもある。
業界の再編 守り
ガソリン車から、EV化によって無くなってしまう内燃機関の部品業界は再編が始まってます。
具体的には、1.燃料タンク2.エンジンの部品であるピストンリング3.エンジンを点火するスパークプラグなどです。
一例ですが、
1.ホンダがインド大手に八千代工業の株式売却2.日本ピストンリングとリケンが経営統合3.デンソーが日本特殊陶業に2事業売却
無くなってしまう部品の所で開発生産を効率化して、得意とする内燃機関のところでシェアを高めて残存者利益を取りにいく動きです。
EV化で無くなると言っても、EVの充電網を発展途上国を含めた世界中に張り巡らせるのは現実的に無理ですから、ガソリン車が完全に無くなる事は無いですからね。
これは無くなるが故の守りの経営ですが、
後述しようと思いますが、トヨタの副社長もいってますが、特に中国は、コックピット含めた内外装が異常なほど進化してます。
業界の再編 攻め
中国の進化にどうやって対抗していくかが課題で、これは進化させる攻めの経営で、
例えばですが、ホンダ系のサプライヤーではテイ・エス テック(シートを手掛けている)日本精機(メーターを手掛けてる)がアルプスアルパイン(電子部品大手)と業務提携を発表してます。
2025~2030年にかけて出て来る次世代の統合コックピットをどうやっていくかって対応の動きです。
トヨタ系のサプライヤーでは、トヨタ紡織(シートを手掛けてる)を筆頭にトヨタ合成(エアバッグ)東海理化(シートベルト)などグループ6社が連携して次世代のコックピットを開発協業して製品を展示していく動きがあったり、
ヘッドランプを手掛けるサプライヤーの小糸製作所は次世代のセンサーのLiDAR(ライダー)について、米ベンチャーに出資する動きがあります。
次世代コックピットはメーターとか無くてタブレットで操作するようなスタイルです。
EVになっても内外装が無くなる訳じゃないんでね。
世界最大の市場
2022年のデータで、新車販売だと
台数(万台) シェア(%)中国 2686 32.9米 1423 17.4インド 473 5.8日本 420 5.1ドイツ 296 3.6
と世界の新車販売の3割以上は中国です。
中国での売上割合が、日産 31%トヨタ 20%です。
いくら地政学的リスクがあるとは言えども、自動車メーカー、自動車部品メーカーにとってはスルーできない市場です。
2023年1~6月のデータで、中国のEV販売数は、271.9万台で
日本の新車販売全体の245万台を超えてしまってます。
異質な進化
中国国内の新車販売台数は、1年前と比べ、2.4%増加で
中国での販売台数では、BYD(中)+90%テスタ(米)+49%
トヨタ ▼ 2.8%(6月▼12.8%)日産 ▼24.4%(6月▼28.0%)ホンダ ▼22.0%(6月▼19.8%)三菱 ▼37.0%マツダ ▼47.0%
トヨタが善戦してるだけで、ほぼ惨敗です。
後ろに本を紹介しておきますが、ナカニシ自動車産業リサーチの中西さんが言ってるんですが、中国の自動車市場というのが世界とはちょっと異質なスピードで進化し始めていると
EVだから売れてるって訳では無いと。
車とデータと結びつけてて、SDV(※)と言うんですが、
※ソフトウェア・デファインド・ビークルソフトを頻繁に更新して車両の価値を高めていく事
例えば、運転支援機能事故防止機能の改善や新機能の追加さらに今後、自動運転の精度向上などです。
まあいわば、動くスマホです。車がインテリジェントでスマホで何でも軽快にいろんなことができるみたいな車に一気に進化がすごいスピードで進んでます。
中国独自の規格のものが一気に進化していて、これがBYDであり、中国で伸びてるEVの新興メーカーです。
この事が表面化したのが、4月の上海モーターショーに行って、中国の進化にうちひしがれて帰ってきたて、市場規模的に無視できないんで必死で挽回策を考えているという状況です。
テスラは中国市場でも戦えてるので、必ずしも外国企業だから駄目というわけではないです。
これまでの日本車のビジネスモデルっていうのは、グローバルに向けて開発した車を中国でも現地生産すれば、高い値段で売れてぼろ儲けができたのが、どのグローバルメーカーもテスラ除いて上手くいってない。
それはSDVというソフトウェアとEVとが合体して車をデジタル化した商品として独自進化した事によるからです。
中国市場での戦い方
求めてる価値が変わってしまったので、これまでのようなビジネスモデルでは中国では生き残れる事が出来ない事を日本車メーカーは分かったので、
市場的に苦戦しているんだけど諦めるわけにはいかないんで、
中国のいわゆるBAT(B:Baidu A:Alibaba T:Tencent)のようなクラウドの背景で、車をデジタル化してるので、中国のジョイントベンチャーと一緒にやっていかざるを得ない。
トヨタは、中国でのEVなどの研究開発を一部集約してトヨタ知能電動車研究開発センターとして、AIを使った運転機能BYD、中国第一汽車集団などと組む現地の合弁会社中国の開発人材も参画して中国の専用車としてEV開発を行います。
これは日本で開発したバックエンドが、分断された中国のクラウドだと使えないんで、BATのバックエンドに合わせたデータで車開発をしていくって事です。
どうしてもソフトウェアの部分を中国独自のものにしていくしか無い。特にコックピット周りが進化してるそうです。
これまではグローバルな車で良かったんですが、もうこれはもう通用しない事が分かった。これが中国で勝てば、この技術は外でも使う事ができるんでね。
東南アジアでの脅威
トヨタはこのように中国市場で戦う事になりましたが、
トヨタ以外の日本メーカーの中国での対応は、
ホンダ:中国での35年でEV専売を5年前倒し日 産:NEV(新エネ車)のラインナップを前倒しマツダ:販売会社 生産対戦を縮小三菱自:新車の生産ストップ 人員整理スズキ:2018年に撤退
と、実質的にホンダ、日産 以外は実質的に中国でのEV撤退です。
日本は2022年までず~っと世界最大の自動車輸出大国でしたが、2023年1~6月の上半期で、
中国:214万台日本:202万台
と逆転されてしまっており、もしかすると1年で抜かれしまう可能性があります。
中国が伸びてるのは、欧州の先進国だけでなくて、東南アジアで、タイやインドネシア。
特にタイはこの半年で前年比で4倍近くなってる。
東南アジアはEV化シフトが遅いと言われてきたのですが、タイでは10%がEV化してきています。
中国は一気にアジアの方に入っていっており日本の牙城でありドル箱と言われている東南アジアの市場が守れなくなる怖いシナリオが控えてて、
トヨタの戦略のように、中国内でもある程度戦えるSDV化したEVを作る力をもっておかないと、アジアに流入してくる中国のメーカーに対抗できない可能性があります。
もう疲れてきた・・・
・リチウムイオン電池・全固体電池・有望な自動車部品の関連銘柄
の話まで書くつもりでしたが、これタイピングするとすげー時間かかるので、この辺でお開きにしようかと。
(特に、電池関係を書き出したらメチャクチャ長くなりそうだし)
私が幾つか読んだ本にも割と上記の事の一部は書かれてますので紹介すると、
トヨタのEV戦争
新刊ですので、上述の中国の事とかも書かれてます。
あと割と記憶で書いてるので間違ってる数字とかもあると思うので、各自で最終的には調べてね。
追記:9/18
画像まで入れたら、かなり時間かかったので、
ぜひ、感想お聞かせ下さい。
では、では。ちゃんちゃん。